
「ドライブって、いいよね」
彼がそう言っていたのを、何度も思い出しました。
でも、私は助手席専門。免許はあるけれど、ペーパードライバー歴はもう7年。
教習所で免許を取ったあと、一度だけ父の車に乗せてもらったものの、交差点でパニックになって、それきりハンドルを握ることはありませんでした。
「自分には向いてない」と思い込んでいたし、「運転なんて一生しない」って、どこかで決めつけていたように思います。
でも、彼が何気なく言ったひとことが、心に引っかかっていました。
「いつか、一緒に運転して出かけてみたいな」
そんなのムリだよ…と思いつつ、こっそりスマホで「ペーパードライバー 練習 大阪」と検索したのが始まりです。
いろいろな教習があったけど、パンダドライビングレッスンの「女性専用」という言葉が目に留まりました。
しかも、和泉中央駅まで行けば、教習車でレッスンが受けられるという安心感。
レビューにも「先生がやさしかった」「軽自動車で運転しやすかった」と書かれていて、気づけばLINEから申し込んでいました。
レッスン当日、駅で待っていると、女性のインストラクターが、柔らかい笑顔で「お待たせしました」と声をかけてくれて、それだけで少し安心できました。
正直、最初は怖さしかなかったです。
「ブレーキどっちだったっけ…?」と混乱しながら、そろそろとアクセルを踏みました。
でも、先生がすぐそばで「今の感じ、とても良いですよ」「遠くをもう少し意識してみましょう」と、やさしく丁寧に伝えてくださるたびに、「あ、私、ちゃんとできてるのかも」と思えるようになっていきました。
驚いたのは、視線の置き方で運転がまったく変わったことです。
私はずっと、目の前ばかり見ていたんですね。だからハンドルがフラつくし、怖くてアクセルも踏めなかった。
でも先生に「もう少し先を見てみましょう。そうするとハンドルが軽く感じますよ」と言われて試してみたら、車がスーッと自然に進む感じがして、怖さが少し和らぎました。
そして、初めて交差点を自分で右折できたときのことは、今でも忘れません。
「あの角、曲がれるかも」って、自分で判断して、ブレーキをかけて、ハンドルを切って――
車が進んだ瞬間、ちょっと感動してしまいました。
先生は、技術だけじゃなくて、気持ちにずっと寄り添ってくれました。
「誰でも、最初は怖いんですよ」「できないことを責めないでくださいね」
その言葉がどれだけ心強かったか、言葉では言い表せません。
帰り道、彼に「今日ね、私、初めて自分で曲がれた」とメッセージを送りました。
「すごいじゃん!もうすぐ助手席と交代かな?」という返事が来て、なんだか少し泣きそうになりました。
これまでは、「私なんて」と引き下がるばかりだったけれど。
運転席に座ってみて、初めて「彼の隣に座りたい」と、心から思えたんです。
助手席じゃなく、運転席から見る景色って、こんなに広くて、まぶしかったんですね。
パンダドライビングレッスンのおかげで、あの日の私から、少しだけ前に進めました。
本当に、ありがとうございました。
(20代後半・保育士/和泉中央プラン)